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前立線炎 Prostatitis

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前立線炎について
About Prostatitis

前立腺は精液の一部である前立腺液を産生する臓器です。精巣で作られた精子と、精嚢から作られた精嚢液が前立腺液と混ざり、前立腺から尿道内に排出されます。この前立腺に何らかの炎症を起こした状態が前立腺炎です。 前立腺炎は前立腺に炎症が起こり、様々な症状が出現する病気ですが、細菌が前立腺に付いて起きる「細菌性前立腺炎」と、細菌と関係なく発症する「“非”細菌性前立腺炎」とに分けられます。アメリカの国立衛生研究所(NIH)は前立腺炎を、「細菌の有無」と「尿検査での白血球尿(膿尿)の有無」により下記の4つのタイプに分類しています(NIHコンセンサス分類)。ここで言う尿検査は、前立腺マッサージを行う前と、行った後の2回の尿検査のことを指します。

前立腺炎のNIHコンセンサス分類

カテゴリー分類尿所見マッサージ前マッサージ後
急性細菌性前立腺炎白血球+/−+
細菌+/−+
慢性細菌性前立腺炎白血球+/−+
細菌+/−+
慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群
Ⅲa炎症性白血球+
細菌
Ⅲb非炎症性白血球
細菌
無症侯性炎症性前立腺炎白血球+
細菌
カテゴリーI(急性細菌性前立腺炎)

尿路感染症の一つであり、発熱(時に38度以上の高熱)、寒気、倦怠感、全身の筋肉痛などの全身症状を起こします。前立腺をお尻から触診すると、激しい痛みを伴う事が多く、また前立腺が腫れて尿が出しづらい、尿が近い(頻尿)、排尿時の痛みなどを伴います。抗生物質などで治療します。

カテゴリーII(慢性細菌性前立腺炎)

細菌性前立腺炎を繰り返す場合や、完全に治らず慢性化した状態を言います。カテゴリーⅠの急性細菌性前立腺と比較して症状は軽い場合があります。抗生物質などで治療します。

カテゴリーIII(慢性非細菌性前立腺炎)

典型的には疼痛を呈し、下腹部から下半身にかけて様々な症状が現れることがあります。前立腺炎という病名がつけられていますが、前立腺付近の会陰部だけでなく、腰、尿道、鼠径部(大腿の付け根)、大腿、下腹部など、前立腺とは一見関係ないような場所にも症状が現れることがあり、診断に苦慮することも多いのが特徴です。
痛み、不快感により、患者さんはしばしば生活の質が著しく損なわれることがあります。また尿路の刺激症状(頻尿、排尿時痛)または尿路の閉塞症状(尿が出しづらい)を認めることもあります。お尻からの診察(直腸診)では前立腺に痛みを感じることがありますが、特徴的な所見はありません。臨床的には、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の炎症性型と非炎症性型はとても似た症状を有すると言われています。

カテゴリーIV(無症候性炎症性前立腺炎)

特に症状は認めず、たまたま前立腺の検査で尿中に白血球が認められ、偶然発見されるものを言います。

前立腺炎を疑う場合には上記の分類を行うために、お尻から指で前立腺を診察する直腸診検査、尿検査、尿細菌培養検査、尿のクラミジア・淋菌検査などを行い診断します。また時に膀胱や前立腺の超音波や、陰嚢(精巣)の超音波検査を行う場合があります。

上記の分類のうち、カテゴリーIIとIIIを合わせて慢性前立腺炎と呼びますが、特に日常臨床で診断、治療に難渋するのが、カテゴリーⅢの慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群です。

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群とは?

比較的若年者(10歳代後半~40 歳代)によくみられる前立腺の病気です。
原因ははっきりと解明されていませんが、前立腺周囲の血流不全(血の巡りが悪いこと)や、排尿障害による尿の前立腺内への浸潤、骨盤部や下半身の神経異常(感覚過敏など)、副腎ホルモンや性ホルモンの異常などが原因と推測されています。
長時間の座位(パソコンなどでのデスクワークなど)、長時間の車・自転車・バイクの運転など、前立腺のある会陰部が長時間圧迫されると慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群になりやすいことがわかっています。またそれ以外にも、精神的ストレス、疲労、喫煙、過度の飲酒、冷え症なども危険因子と言われています。

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の症状

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群では、下腹部から下半身にかけて様々な症状が現れることがあります。前立腺炎という病名がつけられていますが、前立腺付近の会陰部だけでなく、腰、尿道、鼠径部(大腿の付け根)、大腿、下腹部など、前立腺とは一見関係ないような場所にも症状が現れることがあり、診断に苦慮することも多いのが特徴です。また尿が近い、残尿感がある、尿の勢いが弱い、排尿後に尿が漏れる、排尿するときに尿道が痛い、尿道の違和感などの排尿症状や、下腹部が重苦しい、足の付け根の不快感、会陰部(肛門と陰嚢の間)の鈍痛・不快感・違和感、精巣(睾丸)の鈍痛・不快感・違和感、太ももの違和感などの疼痛、そして時には射精時の違和感、勃起障害などを伴うこともあります。

慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の検査、診断

お尻から指を入れて前立腺を診察(直腸診)します。通常触診で前立腺に痛みはありませんが、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群では時に強い痛みを感じたり、また前立腺の一部が硬い「硬結」として触れたりすることがあります。直腸診の時に前立腺をマッサージすると、一時的に症状が良くなることがあり、前立腺の血流の改善が関与している可能性が指摘されています。また尿検査で尿中の白血球(炎症細胞)の有無を調べたり、尿細菌培養検査で細菌の有無を調べます。性行為感染症の原因である、クラミジアや淋菌などの細菌が前立腺に寄生し前立腺炎を発症することもありますので、尿のクラミジア・淋菌検査を行うこともあります。
尿検査や尿細菌培養検査で異常があれば、細菌性前立腺炎と診断し、適切な抗生物質の投与を行いますが、一方、尿検査や尿細菌培養検査で異常が無い場合、慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群と考え治療を行います。

慢性前立腺炎の治療方法
Method of treatment

治療の主体は、生活習慣の改善と薬物治療です。薬物治療では主に下記の薬が使用されます。

抗生物質

各種検査で細菌が検出されなくても、投与することが多いです。海外では6週間以上の投与が推奨されています。レボフロキサシン、テトラサイクリンなどの抗生物質が有効と言われています。

痛み止め

NSAIDSと呼ばれる鎮痛薬が有効であると言われています。ただし、飲むのをやめると症状が再燃する可能性が指摘されています。

α1ブロッカー

前立腺肥大症の治療薬です。尿の通りをスムーズにして、尿が前立腺に染み込むのを予防します。

植物由来成分配合薬(セルニルトン、エブピロスタットなど)

前立腺の炎症をとる目的で使用します。

プレガバリン

神経性疼痛の治療薬です。有効性を示す証拠はまだ少ないです。

漢方薬

血流改善や抗炎症作用を期待して処方します。桂枝茯苓丸、桂枝加竜骨牡蛎湯、牛車腎気丸、柴胡加竜骨牡蛎湯、八味地黄丸など

抗うつ薬

三環系抗うつ薬などを使用することで、神経性の疼痛が改善することがあります。

薬の内服を2週間から4週間程度続けると症状は改善する場合も多いですが、症状が改善しない場合や、改善しても再燃し、繰り返すことが多いのも慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群の特徴です。原因と考えられる生活習慣(喫煙、飲酒など)を改善していくことがとても重要です。たとえば長時間のデスクワークの際には1~2時間毎に席を立ちストレッチをする、長時間車や、自転車、バイクに乗らない、自転車はスポーツタイプ(ロードバイクなど)は避ける、禁煙する、過量の飲酒は避ける、疲れやストレスを貯めないようにする、下肢を温める(半身浴)、適度な運動(スクワットなど)などの生活習慣の改善が大切です。


慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群は、治療を受けても症状が治らなかったり繰り返すことが多いため、患者さんは治療に不信を持ち、多くの医療機関を受診することが多いです。この病気は診断が難しいこと、治療に時間がかかること、特効薬がないことが特徴です。焦らず、上記のような様々な薬を試したり、生活習慣を改善するなどして、ある程度症状と付き合いながら、治療していくことが必要です。
自分はこの病気かもしれない、とご心配な方は、当クリニック泌尿器科で一度ご相談ください。

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